まず初めに、本日はプロスケーターについての話をしますが、ここで使う「プロ」は自身のモデルデッキを出している正真正銘のプロではなく、金銭をもらっているスケーターを「広義な意味でプロ」と定義して話をします。
私は若いスケーター達と話をする機会が良くあるのですが、若い子達は職業として見たプロスケーターについて、つまり「お金」や「給料」の部分に少し認識のズレがあることが多いです。
それは「プロはお金持ちである」というもの。
これは私も若い頃は実際に「プロスケーター」=「大金持ち」というイメージがあったような気もしますので、少し分かる気もします。
若い頃は普段から「スケボーはスポーツじゃない!」と言っていたのにお金の部分についてはまるでプロスポーツ選手かのようなイメージが勝手についてしまうんですよね。
そして私もそれに憧れてプロを目指していました。「好きなことをしてお金持ち」、控えめに言って最高じゃないですか(笑)
しかし実際のところはどうでしょうか。
プロスケーターはお金持ちではありません
いきなり夢のない話をしてしまいますが、国内におけるプロスケーター(と呼ばれている人)はお金持ちではありません。もちろんこれは基本的な話であり、堀米雄斗さんのような例外の存在もあります。
まぁ堀米さんの場合は「国内におけるプロ」ではなく「世界におけるプロ」ですからね。米国のような大きなスケート市場の恩恵を存分に受けられる正真正銘のプロ達は言うまでもなく例外です。
しかし、子供の頃にすごい人だと思っていた日本のプロスケーターはあまりお金持ちではありません。
せいぜい月数万円~10数万円の収入であり、複数のスポンサーを受けている有名ライダーでも一つの代理店から20万円をもらっている人は皆無と言ってよいでしょう。
体を張り、有名になり、キッズからあこがれの的でも、これが現実なのです。
でもこれってきちんと考えれば当然の話で、日本のようなスケボー自体の市場規模が小さい国だと、広告にそこまでお金を出すと収支が回るはずがありません。
代理店なんかだと、普通に正社員として働いている人に費用対効果が確実な「労働力」として20万円払うのがやっとの状態なのに、費用対効果が曖昧な「広告料」(スポンサーライダー)に月20万円を払うのはどう考えてもおかしいわけです。
企業というものは営利団体であり、広告(ライダー)に20万円払うのであれば、その広告によって21万円以上の収入が見込めないと払うことはできません。※本当は21万円どころではなく30万円以上の収入が現実的な数字。
このように論理立てて考えると、「プロスケーターはお金持ち」であるというのは幻想であると理解できると思います。
しかし、最近では飲料メーカーや工務店、大手スニーカー企業なんかもスケボーの市場に参入してきており、それらは青少年育成やスポーツ振興、企業価値の向上という理由で採算度外視でスケーターを抱えることもあります。
採算度外視はもちろん例外であり、大手企業という資本力がないと不可能です。そしてそのような資本力は、日本の代理店にはありません。
逆に言うとこのような例外の中に入り込めたスケーターはほぼその企業の「労働力」として正社員と同等かそれ以上の年収が見込める可能性もあります。CMなんかの仕事ももらえますからね。
お金持ちだという噂
割とよく聞く噂に「〇〇(プロ)さんはめちゃくちゃお金もらってる」というものがあります。
それは大体が正確ではありません。
会社員として正社員であれば年収400万円くらいが日本の平均だそうですが、世の会社員の人達、小遣い制でヒーヒー言ってますよね。私もヒーヒー言ってます(笑)
「スケボーで年間400万円」と聞くととてもお金持ちに聞こえますが「会社員で年収400万円」と聞くとお金持ちに聞こえないから不思議なものです。
そしてスケボーのスポンサー料だけで年間400万円もらっている人、国内にはまぁいませんね。広告にそんなにお金払ったら代理店潰れます。
つまり、国内プロはお金持ちではありません。
海外のデッキブランド直接のサポートであっても日本のライダーにそんなに払うのは厳しいと思います。
デッキ一本の売上による利益が3千円として、400万円分利益を出そうとすればそのライダーの影響下において国内で1333本ものデッキを売らなければなりません。
少々リアリティがない数字であり、もはや本物のプロでないと無理な数字でしょう。
まとめ
少し昔の話ですが、とある海外から直接サポートされている日本人プロが年収1000万円くらいある、という噂を耳にしました。
そのブランドはライダーがとても多いブランドでしたから本国で20人ライダーを抱えたら少なくとも年間2憶の広告料と言うことになります。普通に考えてあり得ませんよね。同じ広告であったらテレビCMが何十本も作れてしまいます。
スケボーにおいて「プロがお金持ち」という話は例外中の例外の話であり、市場規模というものはお金の動きそのものに連結する話ですから、少々オーバーな話であると思っておいた方が良いかもしれません。
まとめると、スケボーでお金持ちになりたければ
- 飲料メーカーや大手企業等の労働力扱い(社員扱い)としてサポートを受ける
- ビッグカンパニーからプロモデルデッキを出し、米国のような大きなスケート市場からの恩恵を受ける
- 複数(少なくとも3つ以上)の海外ブランドから直接金銭を含めたサポートを受ける
これらのような「例外」の中に入ることが必要とされます。
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