長く
若い頃は永遠にその若い時間が続くものと感じていました。
というより、老いた自分が想像できない、といった方が正しいでしょうか。
100回ステアを飛んでいた体力も無限にあったその時、確かに老いて動けなくなった自分を想像できる人など、ましてやスケーターにはいないと思います。
しかし、人は誰しもが必ず老います。
ついにあのアンドリューレイノルズでさえ、ビッグステアにアタックする姿を見ることはなくなってきましたね。つまり、そういうことです。
どのようなスケートライフを歩みたいかは人それぞれですが、今日は息の長いスケーターになるにはどのようなことが必要か、考えてみます。
※ここではただの趣味、というスケーターの話ではなく、プロを前提とした話をします。
健康な体を失う若きスケーターの末路
スケーターのスタイルは当然人それぞれです。それはテクニックの話だけではなく、ライフスタイルや壮大な人生における滑り方、といったある意味抽象的なものも、そうです。
例えば、後先のことは二の次で、若い時にNo1を目指して人生の全てを目の前のメイクにささげるスケーターもいれば、No1を目指すわけではなく、できるだけ長い間デッキの上に乗ることを優先し、危険なことはしないエコなスケーターもいます。
私は、若い頃はなりふり構わず撮影に全てをささげ、体が故障しても騙し騙し撮影を続けた結果、手術も行い、それでも続けていましたが、子供ができたときに、健常者であることを何よりも優先し、エコな滑りに切り替えた人間です。
その時にスケボーの世界でお金を稼ぐことをあきらめたわけですね。
しかし、その切り替えが遅すぎたのでしょう。今は首や腰や膝、足首に爆弾を抱える傷だらけのおじさんスケーターになってしまいました(笑)
それでも今はデッキの上に乗れるくらいの健常者ではあるので、簡単なフラットトリックをメイクするだけでも最高の幸せを感じることができています。
確かに若い頃の命を削るような撮影現場の高揚感を知っているだけに、多少物足りなさを感じることもありますが。
息の長いプロスケーターとは
私が若い頃、世界のトップスケーターであったプロが、アラフォーや40代後半になってもSNS等で滑り続けているのを見ることがあります。
・デーウォンソン
・ロニークリーガー
・エリックコストン
・PJラッド
・ロドニーミューレン
上記スケーターに共通するのは、若い頃はビッグトリックを行っていたが、途中からテクニカルな滑りに切り替え、体にかかる衝撃を少なくした、ということが言えます。
例えばPJラッドは若い頃、「really sorry」というタイトルのFLIPのフルレングスビデオをリリースした時、ステアをバンバン飛ぶスタイルでしたが、体のことを考えたのか、すぐにテクニカルな滑りをメインとするスタイルに切り替えましたね。
その結果、もうすぐ40歳になるPJは、今でも世界一テクニカルといっても過言ではない滑りを日々、SNSで魅せてくれます。
ちなみにPJは例外中の例外です。
ビッグトリックもテクニカルも両方できるスケーターはそうそういませんから、普通はビッグトリックができなくなった時点でそのスケーターはメディアから消えることとなります。
次は逆にビッグトリッカーであったがゆえ、身体がボロボロになり、今ではほぼデッキにのることがなくなったスケーターもいます。
・アートサリー
・ジェイミートーマス
・ケリーゲッツ
・チャドマスカ
・アリボウララ
元祖ビッグトリッカーのジェイミートーマスは今でも仕事の一環としてデッキの上に乗ることがあるようですが、30代の頃のインタビューで、「膝の手術もしたし、下半身がもうボロボロの状態なんだ」と言っていました。
若い頃、目の前のメイクに全てをささげたスケーターは、PJのようにどこかでスパっと切り替えることができないと、その後の長い人生でスケボーを楽しめなくなるかもしれません。
しかし、そのタイミングが通常「プロをあきらめる」ということです。
PJのような世界的天才や、フルパートも持っていなクセにいつもスタイルスタイルと言っている言い訳おじさんスケーター以外は。
まとめ
若い頃、将来のことを考えすぎてしまうと、とてもステアなんて飛べませんし、ハンドレールも入れません。
しかし、基本的スケボーって危ないものですし、危険をおかすことができないスケーターはそもそもスケボーで世界的に有名になることなどできません。
それは、世界的に認められたスケーターは皆、将来のことよりも目の前のメイクを優先する、どこか頭のネジがぶっとんだ人達だからです。
そんな人たちが大勢いる中で、リスクをまったく犯さない、また、犯してこなかった人が認められるほど、スケボーの世界は甘くないかもしれませんね。
所詮我々スケーターは、突き詰めれば、「危ないことして、それを乗り越えてメイクして、カッケー!」の世界ですから。
それをどこかでスパッと切り替えて(プロを諦めて)、できるだけ長くデッキに乗れるようなスタイルに切り替えたスケーターが、今でも楽しくデッキの上に乗れているのです。
それはイコールリスクを犯さないということですから、命を削るような高揚感のある現場を体感していたスケーターにとっては物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、デッキの上にいつまでも乗りたいのであれば、どこかで線引きは必要だと思います。
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