皆さん【Antwuan Dixon】アントワン・ディクソンというスケーターを御存知でしょうか。
1988年8月19日生まれ アメリカ・アリフォルニア州出身
もはや伝説と言って良い作品、「ベイカー3」で鮮烈デビューし、そこでフルパートを1つ残した後は「プロスケーターなのにスケボーをしない」という異次元のライフスタイルを貫ぬくカリスマスケーターです。
メインスポンサーはdeath wishを経て、現在はRAW DOG RAW sktedoardsというブランドを自身で手掛けています。
幼い頃は兄と盗んだデッキでスケートをしていたそうです。その兄は一生刑務所暮らしを宣告された超がつくアウトロー。
世界一のカリスマ
彼は世界一のカリスマと言って良いかもしれません。
年齢的なことでもなく、マネージャー業になったわけでもなく、怪我もないにも関わらず、プロスケーターなのにスケボーしないことが成り立つ(?)唯一のスケーターだからです。
酒、ドラッグ、ケンカ、顔中に掘られたタトゥー。アウトローを絵に書いたような人物で、刑務所に何度も入っています。ツアー中はデッキを持たずに酒を持ってデモ会場に行き、滑るどころか急にケンカを始めるというムチャクチャな人物です。
しかしキッズからはなぜかサイン攻め。皆から「あれ?デッキは?」と聞かれることもしばしば(笑)
彼がカリスマになったのは、そのアウトローな私生活からは想像もできない程クリーンなスケーティングをするからです。つまりデッキに乗る彼と乗らない彼のギャップの幅が世界一大きかったんですね。
「クリーンなスケーティング」なんていう言葉ではとても足りない程のオリジナリティがあるスケーターで、どんなに大きいトリックをしても腕が肩より上に上がらないどころか、ずっと腰より低い位置にあります。世界一トリック中腕の位置が低いスケーターですね。
スケボーにおけるカリスマ認定とは、狙って得られるものではありません。
酒やドラッグ漬けのアウトローがカリスマになるかと思えば、PJ Laddのようなストイックなカリスマもいますからね。
彼の場合は先程も言った通り、滑りと私生活との巨大なギャップがそうさせたのだと思います。
ちなみに彼のように上半身が動かず、腕を下ろす滑りを真似するスケーターも出てきたそうですが、誰も真似できていません。そもそもあの腕の下げ方は真似ができるようなスタイルではないですね。
人は危険を感じるとどうしても体を守りやすように自然と腕を動かします。それを制することは人間の本能に逆らうことと同義です。ステアを複雑なトリックでメイクするだけで精一杯なのに、さらに人間の本能に逆らいながらそれを行うことができるスケーターはやはりアントワンだけということなのでしょう。
周りからの忠告
スケボーの世界においても有名なチームになればなるほど商売の世界です。
人の命には寿命がありますが、会社やブランドには寿命という概念はなく、上手くやれば100年だって存続できます。できるだけ長く会社を存続させるのは経営者の使命であり、その経営者がアントワンに酒を断ち、できるだけスケボーをしてほしいと願うことは当然です。
しかしチームのボスでもあるアンドリューレイノルズやエリックエリントン等から、滑るよう助言されたりスケートに誘われたりしても断るし、撮影もできない程飲んだり、ツアー中に暴れたりするのでは、当然長くシーンにいることはできません。
いくらカリスマであっても、人との関係が保てないのであれば、チームを去るしかないのです。それは決して「群れる」とは違う、人とのつながりの話です。
少し前、アンドリューレイノルズも「今はアントワンとの交流はない」とインタビューで答えていました。
それがアントワンの選んだ道だったのでしょう。
まとめ
いつの時代もカリスマは少々短命なところがあります。レジェンドと呼ばれる人達はシーンに長くいて影響を与え続けるのですが。
短命というとまるで終わったかのような言い方で語弊があるかもしれませんが「シーンの最前線に長くはいない」という表現の仕方が良いでしょうか。
カリスマの要素にはスキルやスタイルの他に「アウトロー」「孤高(孤独)」「メディア嫌い」等の要素が絡むことが多いですが、もしやそこに「短命」という要素も入っていたりするのかもしれません。
ちなみにスケボーには関係ありませんが、彼は以前インタビューで「俺に指図できるのはお袋だけ」と言っていました。一生刑務所暮らしの彼の兄のことも非常に慕っているようですし、彼の家族に対する愛情は深いようですね。
アウトロー程、家族愛が強い気がするのは私だけでしょうか。
最後に「プロスケーターなのにスケボーしない男」を作り上げた彼の映像をご覧ください。当時なんと16歳。
良い子の皆さんは腕の下げ方、真似しちゃいけませんよ。ちょっとミスれば地面に顔面強打しちゃいますからね(笑)