ストリートで撮影をしていたら、通常ではあり得ない体験をすることもしばしばです。
こわ~い人に追いかけられたり、見知らぬ人からジュースをおごってもらったり、いきなりハイタッチを求められたり、海外では車に引かれるスケーターも見たことがあります。
今回はそんなストリートの撮影において、仲間との絆がメイクへと導いてくれた私自身のエピソードを紹介したいと思います。
注意しに来た人を説得
私、フィルマー、友人スケーター、の3人でとあるステアにおいて撮影をしていた時のことです。
私がトレフリップをトライしていて、何度か飛んでいるうちに徐々に足がデッキを捉えだしました。私も周りも徐々に気分が上がってきて、もう何トライかで乗れるか!?というテンションがノってきたストリートあるあるな状況ですね。
そこへここでもストリートあるあるな状況ですが、近所のおじさんっぽい人がすごい剣幕で怒りながら近づいてきました。うろ覚えですが、「うるさいんだよ!やめろ!」みたいな感じだったと思います。
私は必死に「もう1回だけ!」とスケーター得意の「あと1回お願い」をしたのですが聞く耳を持ってくれず、やめろの一点張り。
こういう状況ってスケーターなら分かると思うのですが、さっきまでガンガン上がっていたテンションがすごい落ちてくるんですよね。スケボーは、特に撮影ではテンションがとても大事ですから、近づいていたメイクは一気に遠のくわけです。
現に私のテンションはみるみる落ち、それがフィルマーや友人スケーターにも伝わったと思います。
すると友人スケーターがそのおじさんに、「僕たちはただ遊びでやっているわけではない」「真剣にビデオ撮影をしている」「色んな活動をしていてその一つとしてやっている」「もちろん人にぶつからないように僕が責任をもって周りを見ます」「少しだけ協力してくれませんか?」と、なぜかトライしている私より熱くなって立て続けにおじさんに語り出しました(笑)
するとさっきまで怒っていたおじさんが急にクールダウンしだし、「俺も若い頃は~」と私たちに何か理解を示すような態度に!
その瞬間にチャンスと踏んだ私は「じゃあもうちょっとだけやって成功したらすぐに帰るので」とプッシュラインに立ち、ここからは漫画の世界です。怒られてからのファーストトライでメイクしました。
これから先どのような形に転ぶかわからない(またおじさんが怒りだすかもしれない)ので、メイクしたハイテンションもほどほどに「ありがとうございました!!」と3人とも荷物抱えてダッシュでその場後にし、車に戻ったところでその友人スケーターと鬼ハグです(笑)
ストリートではドラマが起こる
この出来事はもう10年くらい前のことです。節々の言葉はうろ覚えですが、この時メイクした瞬間の足の感覚は今でもハッキリと覚えているくらい深く私の記憶に残るものでした。
このような忘れられないエピソードと言うものはストリートで撮影をしたことがあるスケーターなら一つや二つは持っているのではないでしょうか。
その場所は特に私有地でもなく、公共の場だったのですが、スケボーをやめろ!と言われているわけで私たちの行為は決して褒められたものではないでしょう。しかし、そのスキマを縫ってメイクした映像にしてわずか2、3秒の奇跡はその場にいたスケーターの心に一生残るものとなります。
これこそがパークでは決して味わえないストリートの醍醐味と言えるでしょう。
怒られている状況を「醍醐味」と言ってしまうのもどうかと思いますが(笑)
まとめ
このようなストリートでのエピソードを美化し、今の若いスケーターに分かって欲しいとか体験してほしいという気持ちはありません。先ほども言いましたが怒られたという状況は褒められたものではないですからね。
しかし、パークでは決して味わうことができないこのようなストリートでの経験を積むとそこには必ず仲間の絆が生まれます。
その当時、そこにいたスケーター達と体験した奇跡は私の宝物であり、そのフィルマーと友人スケーターとはお互いに家庭を持った今でも親友です。
スケボーのストリートが問題化されつつある昨今、これもスケボーの醍醐味の一つであるとの認識は今ではもう古くなりつつあるのかもしれないですが、私は今でもこれを【スケボー醍醐味】と言いたいストリートスケーターの一人です。
関連記事↓